その頃の妻は
よく夕食の時や寝床の中で
妻と同じ職場の上司である
下川克己(仮名)のことを口にしていた
その話を聞く度に私は、結婚七年目のマンネリ化した夫婦生活が、妻を他の男に目を向かせるようになったのかと思って嫉妬もし、その反面、妻が他の男に目を向けるのは、自分が妻を優しく愛していないことにも原因があるのではないか…とも思っていた
下川克己は妻の職場の上席であって、仕事以外の深いつき合いはないとは思ってはいたが、それでも男の嫉妬心は芽生えていた。
土曜日の午後だった。
私は妻の勤務が終わる正午過ぎに、妻の職場の前に潜んで妻が出るのを待った。
十二時半だった。
妻は下川と並んで出てきた。
一見、仲の良い二人に見えた。
私はその後をつけてた。
二人は西川駅前の路地に入って行った。
そこは飲食店が並び、もう一歩路地を入ると、昼でも入りやすいラブホテルも並んでいた。
多分、食事か喫茶か、と思ってその帰りを家で待った。
妻か帰ってきたのは午後四時過ぎだった。
「ただいま…」と言って帰ってきたその仕草には何の後ろめたい様子もなく、普段と変わりない妻の態度だったが、それでも私は嫉妬していた。
時間的に見ると、昼食を済ませた後からでも、これまでたっぷり二時間の余裕はある。
これだけの時間があれば、ホテルで一回や二回の愛を繋ぐことは出来る…と思った。
その間に妻は、下川の愛撫を受け、男の液を身体の中に注ぎ込まれて帰ったのではないか…と家事をする妻を見ながら、そのからだの中に、そんな淫らな血が流れているのに、夫の前で何食わぬ顔をして平然と振る舞っているのではないか…という不信感がつのった。
夜になって、横たわってテレビを見ていた。
やがて浴室から出た妻は、前が総開きの薄いネグリジェまとって私の横に横たわった。
明るく照らす照明の下で妻は、布団の上に仰向けに寝てテレビを視ている。
その何でもない妻の仕草が実に艶濃く映り、その艶っぽい肢体に私の男が勃起した。
その妻に、私はそれとなしに話しかけた。
「今日の午後、下川さんと二人で居るところを見たよ…」
「うそ…、」
「ほんとうだよ…」
「どこで見たの…」
「西川の駅前だったよ…。楽しそうに店に入っていったよ。食事でもしたの…」
「まぁ、いや…、何でもないの。昼食して、それから仕事の話をしていたの…、いろいろ教えてもらっていたの…」
「それにしては時間が長かったな…」
私はさりげなく妻の太腿に手を載せ、太腿ををさすりながら話した。
私は、妻と下川が男女の仲になっているとは思ってはいなかったが、はっきりとした確証もないままに妻に話題を投げかると、妻の顔の表情が一瞬、変わるのを私は感じ取った。
妻は気が咎めたのだろう…。
話しながらもネグリジェの裾を少しづつ捲り上げる。
妻は、後ろめたい痛いところを突かれた…と思ったのか、黙ってジッとしている。
私はテレビを見ている妻のネグリジェの裾をさらに捲り上げた。
滑らかに弾けるような太腿が、蛍光灯の明かりに照らされて露わになった。
三十二歳女の肌は、はち切れんばかりに艶々としていた。
妻は私に裾を捲られ触られているのに、不思議に、素知らぬふりして、その誘いに何の抵抗もなく、その目はテレビに向けられていた。
下川との交際を云われたことに後めいた詫びの印だろうか…。
妻は、私にされるままに身を任せ、素知らぬ振りして、からだを投げ出している。
その投げ出した肢体が無性に艶っぽく男の昂ぶりを誘った。
妻は、元来、潔癖性が強く、私との性行為にはあまり燃えず、いつも消極的な慎ましく淑やかな性行為をする女で、このような彼女にしては、今このように羞恥を示すことなく身を任せるのは珍しいことなのだ。
私は更にネグリジェの裾を、さらに捲り拡げた。
ネグリジェのボタンを下から順に外していった。
明るい電気の下に三十二歳女の豊満な太腿と薄い布が見えてきた。
妻はじっとしている。
更にネグリジェを拡げ、妻の下半身を丸出しにした。
弾けるような滑らかな双つの太腿と、白く薄い布に包まれた膨らむ女の丘が、私の目の前に投げ出されている。
妻のしなやかな太腿には弾けるような柔らかい肉がついていた。
腰にまとわりつくシルクの薄い布に指をかけた。
明るい電気の下でそのパンティを妻の腰からずり少しずり下げていった。
布を下げると黒く繁った陰毛の丘が覗いてきた。
まろみを帯びた白い腰の中心に黒々となびく精毛のそよぎが淫らだ。
結構、陰毛は黒く、生えている量も多い。
珍しく妻は抵抗もせず、私の動きに身を任せている。
すると妻が「ねぇ、そこが痒いの…」と言う。
「どこ…、ここ…、毛虫でもついたのかな…」
そう云いながら、私が陰毛を捩ってみても全く嫌がらずに抵抗もしない。
されるままにからだを任せている。
陰毛を透いてみた。
毛虫は居ないようだ。
パンティをずらす。
恥裂が丸見えとなる。
「ねぇ…、パンティを脱がないと毛虫がよく見えないよ…」
と云って、パンティを足下から剥ぎ取った。
黒い陰毛の裾野に赤い肉襞が覗く。
淫らな光景だ。
妻の両脚を大きく拡げた。
柔らかい肉がついた双つの丘陵が押し開かれると、女の恥部のたたずまいがいっそう明瞭になった。
アケビの実のような外陰唇の膨らみの横から、二枚の紅い肉ビラが少し捲れて、肉襞の半分をのぞかせている。
楕円状に割れ込みを囲む外陰唇は、ややくすみがかっているものの、内側の眺めは鮮やかなほどピンク色が濃い。
そのピンク色がひときわ鮮やかな部分にきらきらと溢れるものが光って尖っていた。
溢れる尖ったものはまくれて、外側にのびた二枚の内陰唇をもぬらぬらとあやしく光らせていた。
結婚以来、これまで妻との性行為は、暗闇の中でごそごそするのが常であった。
結婚して初めて妻の恥部を明瞭に眺めた。
「あまり見ないで…恥ずかしい…」
妻は小さな声を立てて太腿と腰の部分をくねらせた。
そして自分の方から腿を拡げて、女の恥部をあからさまに見せ、
「こんなにしたのは、あなたなのよ…。あなたのせいよ…!」
と云って女の性欲を覗かせた。
下川との交際の後めいた詫びの印だったろうか…。
妻と下川が男女の仲になって性行為をしているとは思いたくなかったが、それでも今日の昼過ぎに、もしかしたら、ここに下川の硬いものが入り込んで、妻はそれに狂乱したのではないか…と疑ってもみた。
それは妻の日頃の話の中で、妻が下川に相当に傾むいていることを感じていたからだ。
それにしても今夜の妻は、脚を大きく拡げて、明るい電気の下で、その全てを眺めさせてくれた。
生まれて初めて、女のそこをあからさまに見たのだった。
そこは相当に潤んでいて、愛液が滴り落ちるように光り輝いていた。
もう、男を受け入れて良い準備は完全に出来ていた。
そこに尖らせた舌先を擦りつけると、
「イヤ…、やめて…」
と言って逃れようとする。
それを押さえて愛撫を続ける。
「ねぇ…、暗くして…お願い…」
その哀願に私は電気を消したがテレビは付けていた。
テレビの音を消すと、部屋はテレビだけの明かりとなった。
その明かりに、女の局所が妖しく蠢いて見える。
もう入れて…と男塊を哀願しているようだ。
私はそこに挿し込んだ。
入り口は硬く入りにくかったが、そこを抜けると入りやすくなった。
それでも硬い大きな男塊が女の隧道を一杯に裂けんばかりに進んで行くように思えた。
テレビの薄明かりで妻の顔の表情を見つめる。
快感に妻の顔が歪んだ。
妻が大きく腰を捩ってくる。
凄く乱れてきた。
顔が益々苦しげな表情になって暴れ回る。
吐息が呻き声に変わった。
激しく身悶えをする。
こんなに激しく乱れる妻を見たのも初めてだった。
それを見て私は激しく突いていった。
その途端にイッてしまった。
それを待っていたかのように妻のからだが硬直した。
やがて妻の硬直したからだが緩んで、妻はからだを投げ出して、失神したように、身動きもしなかった。
妻が下川と親しくしていても、ホテルまでは行っていないと信じている。
妻は、それだけの礼節は守ってくれている女だと信じている。
妻も、多少の後ろめたさから、今夜は抵抗もせず、拒まずに、結婚して初めて明るいところで夫の欲求に応えたのだろう。
今夜のような妻の積極的な性行為を見た私は、時にはあらぬ噂として話題を投げかけ、睦まじい夫婦生活に誘導するのも、夫婦の繋がりを強める方策ではないかと思いながら、快感にまどろみ宙を彷徨う妻の愛しい寝顔を見つめていた。
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